2000年3月8日に発生した地下鉄線脱線事故により、
当時高校生だった富久信介さんが犠牲となりました。
2020年―― 一通のラブレターが信介さんのご家族の元に届きました。
その手紙は、毎朝、信介さんと同じ時間、同じ車両で通学し、
彼に密かな想いを寄せていたという女性から送られてきたものでした。
ご家族も知らなかった信介さんの姿がそこには綴られており、
20年越しで彼の成長を目の当たりにしたのです。
人の想いが色褪せる事は無い。この奇跡のような実話を元に、
信介さんのご家族や関係者のご協力を得て、映画化されました。

寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、とある青年に手紙を書きはじめる。
―― 24年前、17歳のナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生・富久信介(細田佳央太)にひそかな想いを抱いてた。一方、信介は学校帰りにボクシングに夢中な生活を送り、プロボクサーを目指していた。そんな彼らに、運命の日、2000年3月8日が訪れる。
―― 2024年、ナズナからの手紙を受け取った信介の父・隆治(佐藤浩市)。その手紙の中に亡くなった息子の生きた証を確かに感じ、知りえなかった信介の在りし日が明らかになっていく。そして、隆治はナズナに宛てて手紙を綴りはじめる。愛する者を亡くして生き続けた隆治とナズナとの邂逅により、24年前の真実とナズナが手紙を書いた理由が明らかになる。
人はなぜラブレターを書くのか ―― その手紙が“奇跡”を起こす。

綾瀬はるかHaruka Ayase

寺田ナズナ[現代]
定食屋を営む明るい女性。あることがきっかけで高校時代に想いを寄せた相手に24年の時を超えて再びラブレターを書く。
【コメント】
脚本を読んだ時に涙が止まらなくて、心が揺さぶられました。生きたい、もっと見てたい、家族を愛して、家族に愛されて、生きてきた証のような思いの中で、ナズナのラブレターに秘められた物語を是非観て頂きたいです。

當真あみAmi Touma

小野ナズナ[学生時代]
少し内気な女子高生。毎日乗る通学電車で一緒になる信介にひそかな思いを寄せる。
信介にラブレターを書きながらも渡せず、初恋を胸に秘める。
【コメント】
脚本を読んで、初めてこの出来事が実際にあった事なのだと知りました。友人と過ごしたり、何かに熱中したり、恋をしたりと当たり前に思っていた日常を、しっかりと見つめて大切にしたいと感じました。綾瀬さんが演じるナズナと、どう繋げられたらいいかを監督と話しながら、ナズナが経験し積み重ねた感情を作っていけるように演じました。この作品を沢山の方に見ていただきたいです。映画を見た時、きっと自分の日常が愛おしく大切に思えるはずです。

細田佳央太Kanta Hosoda

富久信介
進学校に通いながら、ボクシングにも夢中になっている不器用ながらも正義感の強い高校生。
ナズナの初恋の相手。
【コメント】
石井監督ともう一度ご一緒することを目標にしていたので、自ずと気合いが入りました。ボクシング練習には約4 ヶ月という準備期間をいただいて、ボクシング未経験の僕に松浦さん(ボクシング指導者)をはじめとした多くの方々が指導してくださり向き合っていただきました。素敵過ぎるスタッフ・キャストの皆様に囲まれた撮影の日々は、映画と芝居にもう一段と深くのめり込むきっかけとなり、撮影の内外問わず役と同様に温かい距離を保ち続けてくださった菅田さんには感謝してもしきれません。この作品が持つ記憶と、そこに生きた人々の熱が、現代に生きる皆様と未来に届くことを願ってやみません。

菅田将暉Masaki Suda

川嶋勝重
信介のボクシングジムの先輩でありよき理解者。「世界チャンピオンになる」という夢を持つ。
【コメント】
第17代WBC世界スーパーフライ級チャンピオン川嶋勝重選手。を演じる?即お断りしようと思いました。が、台本を読むと、早すぎる命と対話する真摯な青年の姿がありました。夢について語り合い、想いを背負って闘う。今日のために生きる。今の自分に必要な作品だったのか、使命感のようなものが湧いてきて、初の石井組に挑みました。ハードな撮影でしたが、一生に一度の経験をさせてもらいました。思いやりと少しシャイなところがこの映画の好きなところです。是非、観に来てください。

妻夫木聡Satoshi Tsumabuki

寺田良一
ナズナの夫。
不器用ながらもナズナを気にかける。
【コメント】
様々なテーマで挑戦し続ける石井監督の作品に呼んでもらえることはとても光栄なことです。そして、自分にとっても新しい一面を見せられるようにと身が引き締まる思いでしたが、少しずつほどけていく家族の形を、一日一日確かめながら撮影する日々は、どうしようもなく不器用で、素直になれないけど、それがとても愛おしい時間でした。
過去を生きる人、今を生きる人、みんなの想いが溢れている。悲しみさえも糧にして、前を向き、それぞれが夢に向かって踏み出していく様に涙が止まりませんでした。
一つのラブレターによって、止まっていた時間が動きだしていく。悲しいことも、嬉しいことも、みんな手を繋いで生きていければ良いよねって思わせてくれる、そんな素敵な映画です。是非劇場でご覧ください。

佐藤浩市Kouichi Sato

富久隆治
信介の父親。息子の死後も息子の人生を深く知ろうとする。息子と同じく不器用な愛を持つ。
【コメント】
突然の別れと、覚悟を持って向き合う別れ。どちらにしても後悔なく大切な人を見送ることの出来る方はごく僅か…。しかしその想いが、より深く故人との歴史を刻んでくれると信じたい。

監督・脚本:石井裕也

1983年生まれ/埼玉県出身
大阪芸術大学卒業、日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻修士課程修了。『舟を編む』(13)では、第37回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか6冠に輝く。その後、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)で第91回キネマ旬報ベスト・テン第1位、ベルリン国際映画祭出品。近年の作品に『アジアの天使』(21)、『月』(23)、『愛にイナズマ』(23)、『本心』(24)などがある

【フィルモグラフィー】
『本心』(2024)
『愛にイナズマ』(2023)
『月』(2023)
『アジアの天使』(2021)
『茜色に焼かれる』(2021)
『生きちゃった』(2020)
『乱反射』(2019)
『町田くんの世界』(2019)
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)
『バンクーバーの朝日』(2014)
『ぼくたちの家族』(2014)
『舟を編む』(2013)
『あぜ道のダンディ』(2011)
『ハラがコレなんで』(2011)
『川の底からこんにちは』(2010)

プロデューサー:北島直明

1980年生まれ/徳島県出身
映画・ドラマプロデューサー。『桐島、部活やめるってよ』(12)のアシスタントプロデューサーを経て、『藁の楯』(13)でプロデューサーデビュー。同作は第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された。『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17)でエランドール賞プロデューサー奨励賞、『キングダム』(19)で藤本賞奨励賞を受賞。主なプロデュース作品に『ちはやふる』シリーズ(16・18)、『キングダム』シリーズ(19・22・23・24)、『線は、僕を描く』(22)、『愛にイナズマ』(23)、『帰ってきた あぶない刑事』(24)、『新解釈・幕末伝』(25)、テレビドラマでは、「ネメシス」(21)、「ちはやふる-めぐり-」(25)を手掛けた。今夏に映画『キングダム』シリーズ最新作の公開が控えている。